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 1-4 投擲技術を考える為のヒント


投擲競技とは投擲物の飛距離を競うものである。飛距離を増すためには、フィニッシュで投擲物が手から離れるときの「速さ」を高めることが要求される。リリース時の投擲物の速度を増すためには、準備動作から主要動作にいたる投擲動作の合理性が要求されるが、その動作の分習的体系についてはすでに紹介した通りである。ここでは、更に大事な事柄について述べたいと思う。


まず動作の方法は、砲丸投げを例にとると、肘の伸展の後に膝関節の伸展が身体を突き出すように行われることである。また手首の動作と足首の動作は同時に生じるように見えるが、意識して手首の方を強調することである。


この動作を、二人で向かい会い、投擲物を投げたり受け取ったりする方法で繰り返し行うことは、良い基礎練習となる。この練習は、「投げの動作」に必要な呼吸法も一緒に改善される。この呼吸やタイミングは、一連の投擲動作の流れの中で養うのである。


松延博氏は「スポーツとリズム」の中で「リズム」「タイミング」は心臓の鼓動より生まれると述べている。このことについては、小生も体験し、投擲においても同じであることを確信した。技術を高めるための補助練習においても「リズム」や「タイミング」を忘れては効果はない。また、投げの技術習得のためには、加速のリズムを大切にすることが重要であろう。ウォーミングアップで行う正しいジョグ、走る、跳ぶも一連の動作の中で加速のリズムを意識して行い、途中でピークをつくる様にしてすすめていくことが重要である。投擲においては、リズム・タイミングという要素が加わって初めて有効な技術が習得できるということを忘れてはならない。