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 1-5 「力」とは何処から生ずるのか?


一体、身体の「力」は何処から出るのか?このことを自分なりに整理しておく必要がある。大きな力を発揮するための基本について、三つに分けて考えたい。


一つは筋肉の収縮である。筋肉が動き出す前に脳が動き出す。そのもとは、血液の流れによる。運動の指令は、脳より神経細胞を通して筋肉に伝達される。素早く筋肉を動かすためには血液が重要な役割を担う。すなわち、筋の収縮のために、脳と筋に血液が速く送られることが大事である。


第二番目は基本動作における身体の動かし方である。屈伸動作(上下動作とも言う)では、屈するときは足首→膝→腰の各関節の順序に動作し、また逆に伸ばす時には、腰→膝→足首の順に動作する。身体をひねる動作(ひねり返す動作も含む)や倒し動作では身体を倒し、移動することによって力を出す。また回転動作も倒し動作と大きな関連を持ち、大きな力やパワーを発揮する。回転動作には、内耳の三半規管の関与が大きい。ここでもまた血流が関連している。


第三番目は、両肘・両膝の動作方法である。言い換えれば、投擲動作では「投げ」「構え」の動作において、両膝部と両肘部が左右バランスよく安定することが力の出し方のポイントになる。「膝」は地面との接点である足(底)と腰部とを関連づける関節であり、「肘」は、投擲物(重量)との接点である前腕や手と肩胸背部とを関連づける関節である。したがって、この二つの関節は、投擲における力の発揮に重要な役割を果たすのである。


以上の三点の他に、特に重要なことがまだある。それは「呼吸」の仕方である。腹の下に力を入れるときに呼気と一緒にだされる声は力の発揮に貢献する。この時の声は、投擲者の精神の現れなのかもしれない。