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 1-10 歯について


歯の働きは二つある。一つは食べ物を噛み砕くこと。もう一つは、握力や筋力を測るときなど、反射的に奥歯を噛むことで脳に刺激を送り、脳の活性を高めることである。一般にスポーツマンをはじめ肉体労働をしている人は奥歯の破損が多いといわれている。投てき選手にも奥歯の悪い人が多い。また、最近はマウスガードという奥歯を保護するための「グッズ」が市販されている。昔は、ボクサーのみが使用していたが、今ではゴルファー、アメリカンフットボール、ラグビー選手達にも使用されて効果を得ている。


歯が弱いからと言って薬用カルシュウムなど服用し、磨いてはほとんど使わずに柔らかな食品を好んで食べている人もいる様だが、これだけでは不十分である。骨も同様であるが、適当な刺激がなくては歯も強くはならない。歯には歯を支える「歯茎」という部分があり、噛むことにより「歯茎」が刺激される。この刺激は周囲の毛細血管の刺激にもなる。これに関しては、大人から始めるのではなく、子供の項から噛む習慣を付けておくことが大事である。


これらのことから、日常食において柔らかいものだけでなく歯応えのあるものをじっくり噛んで食べることが重要である。私の場合、幼少の頃は食べ物が無く、固くとも食べられるものはなんでも噛んで食べたことが、歯を丈夫にしたと思う。さらに、噛むことは脳への刺激という点でも有効である。陸上競技でも、トレーニングにおいて歯をくいしばる場面は多い。向上心を持った競技者であるなら歯を大切にすることは怠らないでほしい。