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 2-3 肩こり


「肩こり」は昔、若者にはあまり聞かなかったが、今では、案外若い人に多い。例えば、小学生も今では塾の帰りにマッサージに行くと聞いて驚く。


この原因は、全身の筋量の減少によるものが多い。また、人の頭の大きさは、幼少の頃より青年になっても大差はないが、老いてくると首の回りの筋肉がやせ、細くなってくるため、頭を支えるのが困難になる。頭の重さはいつまでも変わらない。このことから、肩の筋肉に負担がかかり肩がこるのである。勿論、運動不足も老いも両方とも筋肉中の血管や毛細血管を減少させるので血液の循環が悪くなっていることも原因している。


机に座っての仕事は、椅子が自分の体型にあっている場合にはそれ程でもないが、体型にあっていない場合、膝や腰と椅子の高さや深さ等の調整が問題となる。例えば、ワープロの机に向かうとき、少し前傾するときの頭の重みが僧帽筋や背筋群に作用し、その部位の疲労が深まる。長時間座っていることも原因の一つである。こんな時には、ときどき、椅子から離れて軽い体操をするとか、軽く横たわるなどして首を休めると良い。肩こりは現代病の一つであるといえよう。


元来、人間は四つの肢で歩いていたことから、頭の位置は、腰よりも低かったのである。生まれたときは、首がしっかりすわれば、四肢で歩くことができる。はじめは首の運動から始まるのである。このことから大人になっても首の運動は大事なのである。身体の平衡感覚(バランス)の中心は、内耳の三半規管や脳の中にある。全身のコントローラーは、頭にあるから頭を支える頚の回りの筋力の強化が重要である。肩こりを治すには、強化と同時に、子供(赤ちゃん)をよく観察し、同じ運動をするようつとめると良いと思う。即ち、食べたら寝る、横になることによって、胃腸は勿論の事、首の回りの筋肉を休ませることではなかろうか。