「宏峯への道」目次へ戻る

 2-4 酒


「酒」はすべて米からできるものと思いこんでいる人もいる。しかし、実際はぶどう酒、梅酒、ぼけ酒等多くの酒があることから、原料も種々雑多である。酒は人間だけが飲んでいるのではなく、猿でも木の中にくるみなどの木の実で造って飲んでいると聞いたことがある。


良い酒は、良い原料だけではできない。自然環境(条件)が大きく作用するのである。世界中の地域で、酒造りに適した地理的環境は様々であるが、原則はなんといっても良質の水である。


酒と身体との関わりを知ることは健康の増進につながる。効用については、昔から先人が「酒は百薬の長」というように、少量ならばあらゆる薬にもまさるものをもっている。たまに酒を飲むと、リラックスし友人との会話も弾む。また、読み物や文章を書くことなども、飲んで良い展開をすることもある。しかし、常にそうではない。酒は別名、「気違い水」と呼ばれ、飲み方を誤ると自他ともに命すら落とすこともある。飲酒運転などもこの一つの表れであろう。友人達と酒を飲むと、食事の時間が長くなり、他の約束事や schedule がしわ寄せを喰うこともあるので要注意である。これらのことから、自分のコンディションが良い時飲む酒は、良薬となる。


酒は素早く胃から吸収され、血液の中に入っていく。すると血液の流れは一段と速くなり、心臓に負担がかかる。このため胸がドキドキと動悸を感ずることがある。顔が赤くなるのは血管が拡張するからである。これが正常な反応なのであるが、無理しての酒は、血管が収縮して身体に悪く、顔色は青ざめる。多量に飲んでも大丈夫な人は、内蔵が麻痺しているのではないだろうか。酒を飲むと肝臓が悪くなるといわれているが、飲まなくても悪い人はいる。肝臓は酒のためだけの臓器ではないのである。


良質の酒は知らず知らずのうちに浸透していくため気持ちよくなるが、「陶然忘機」という言葉通り、酔いしれているとチャンスを忘れることがあるので努力を酒に流さぬように。