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 2-8 納豆


大学に合格し、保谷市の松尾家に下宿生活をしたとき、おばさんが、「今朝はとてもおいしい納豆ですヨ!」といわれ、生ツバがでるくらい楽しみにしていた。しかし、まず臭いニオイに驚き、ネバネバが口のまわりにつき、噛んでもこなれた様子が無く、遂に食べられなかった。それを見ておばさんが、「西藤さん、これは栄養があるので食べなさい、体にいいのよ!」といわれて再度挑戦しようとしたがダメであった。しかし、友人達と市川家の自炊生活に入ってから、皆が好んで食べるので、無理して身体のために食べていたら、だんだん食べられるようになってきた。今では、おたふくの「水戸の小粒納豆」の会員であり、朝食では一日おきに食べている。


さて、納豆は植物性蛋白を多く含む代表的な食品として昔も今も重宝されている。この食品は昔は保存用の食品として関東以北の雪国で多く作られ、だんだん関西地方にも紹介されたようである。

食べ方もいろいろあり、酒の肴としても最適である。油揚げ(関西風)の中に納豆を入れて焼いたものが好物である。次に、ダイコンを細く切り納豆とあえたもの、わさび、卵黄と混ぜて熱い飯の上にのせて食べるのも大変おいしい。朝食をおいしく食べることはすばらしいことで、「朝食がおいしいと早起きもできる」というものである。


納豆は、原料が大豆であり、そのもの自身にも栄養があり、さらに納豆菌が大腸の活性化に有効な働きをする。日本の食品文化として誇れるものである。大豆は、土壌のやせた土地や荒れ地にとれる作物である。肥沃な土地で育ったものが必ずしもいいものではないのである。これを人間にたとえれば、貧しい家に育っても、金持ちの家に育った人よりも立派になれるという教訓を与えてくれる一例でもある。そんなことを思うと、いつも食べながらファイトが出る。だから好きになったのかもしれない。