「宏峯への道」目次へ戻る

 2-11 風邪の予防・治療


スポーツマンが風邪などひくのは恥ずかしいことである。そのために早く治す方法を確認しておくべきである。風邪の治療のためには、その病態について知ることがまず要求される。例えば発熱は、体温調節がうまくいかなくなることによって生じる。これは、脳の中の間脳という箇所でコントロールされているのだが、何回も何回も身体に無理が生じた場合に、間脳が疲れてしまうのである。


治療には、初期に疲れをとり、栄養を充分にとってよく寝ることである。寝ていて夜中に目が覚めることがある場合は、中期に入っているのである。このときには、首まわりや背中が冷えないように温めること、また、温まるゼラチン類の薬を塗ってから電気ストーブなどを使用して温めることである。出来れば、胸、腹、腰も暖めるとよい。


肋間筋や背筋の弾性が悪くなると、まず、呼吸が充分できなくなり、一回の換気量が減少するから全体のバランスを乱すことになる。呼吸を整えることで、睡眠が充分とれるようなる。睡眠を充分とれば回復も早い。食事は、消化のよいおかゆに卵半熟、卵酒などの一般食でよい。身体の血液循環をよくすることが回復の早道である。風邪をひくと、体温が上昇するので、水分の補給を忘れないことも大事である。


風邪の予防に必要なことは、治療中にも忘れずに行なうことが大事である。簡単なことではあるが、手を石鹸でしっかり洗う(三○秒)ことや、うがいをする(二○秒)ことを軽視してはならない。特に部屋の中に居ても「のど」を清潔にすることなどに気を付ける。環境条件に応じた屋内の温度・湿度調節も大切で、余り乾燥すると各器官の粘膜の防護効果が減少するために、菌にやられることになる。菌が元気になり、弱体化した身体をむしばむと、のど痛や下痢になるので注意が必要である。