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 3-6 どんな時も心を腐らせるな!


週に一度か二度の全体集合で部員の前に立つと、前列に並ぶ者と遅れてきて後列に並ぶ者のいろいろである。全体を見渡した時、「あっ、この子は落ちこんでいるなぁ…」「あの子は暗い雰囲気だなぁ…」「あの子は元気だなぁ…」等、一目で解るようになった。こんなとき、時侯のあいさつ、即ちその季節に応じて、暑さ寒さに負けるなとか、試合が近くなったとき、その試合を余り意識しないで練習に専念せよ、過去の練習の状態をよく振り返ってコンディションづくりに勤めよ、余り欲ばるななどと声をかける。


陸上競技は試合での勝利だけ求めているのではない。もっと他に、良い友人と出会うことや、みんなで戦うこと、試合の運営方法、さらに個人競技ではあるがインカレの様にみんなが助け合って一緒に試合にのぞむことの重要性、さらに、激しさのなかで冷静に試合をこなす態度、正々堂々と戦うことの大事さなどを伝えている。


人はそれぞれ、自分の失敗や迷い、不安や寂しさ、いろいろあると思う。家族が病気であったり、仕事がうまくいかなかったり、記録が伸びなかったりして、苦しいときなどがあると思うが、そんなときこそ、くじけずにもう少し頑張れ。そして気持ちだけは腐らず明るくしてほしい。苦しいのは自分一人だけではない。自分が暗いとそばにいるみんなも暗くなる。さあ、今日のこの限られた時間は二度と帰って来ない。思い切り有効に時間を使ってほしいものである。苦しいときの判断が一生を決める。どんな時も心だけは腐らせるな!