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 3-8 何事も出来ることから始めよ!


微分・積分などの高等数学の習得にも、その基本となる加減乗除等の算数が正確に速く処理できることが必要である。また、入学試験でも、限られた時間の中で問題を解かなければならない。難問に多く時間をかけることは禁物である。出来る問題から手をかけていくことは何事においても要求される。


陸上競技の練習においても、座学との関わりで時間配分した取り組み方がみられない。これは知的な計画の検討が欠けているからである。競技力の向上が目的ではなく、遊びに来ているように映る者も少なくない。最も目立つのは、他の選手を模倣して、自分の体力には見合わない高度な技術をこなそうとするが、思うように出来ずに悩んでいるものである。技術が身につかないだけでなく、あげくの果てにケガと付き合うこともある。このようなことについての解決策は、初心に帰って、基本的な技術動作を正確に素早くできるようになることである。


歯の生えそろわない乳児に固形物を与えてもむだなのだ。まずは乳からなのである。低い山を上るのに酸素ボンベを持って行かなくてもよいのである。エベレストのように高い山を登るときは、是非持って行かなければならないのである。小生は高校卒業前に、大学に入学するための勉強を始めたが、はじめは中学校の教科書からであった。そこから大学に入学するまでに、四年の歳月がかかった。何故、こんなことをしなければならないのか考えた時、その答えは「出来もしないのに難問を見ているだけでは、短い人生、時間の無駄である。何事も出来ることから始めよ!」であった。教えてくれたのは、もう一人の自分であった。