宏峯塾-kouhou juku- |
指導教本は,本来,実技を指導する際に必須のものである. なぜなら,屋外ではメモもとりにくく, 自分が受けた指導を復習して反復練習することが難しいからである. 必要性の大きさに鑑みて,これまで幾度と無く教本作成を試みたが, 指導者間で,諸問題について解決を求めた場合, 結果として意見の一致を見ることが出来なかった. こんなことで,冬休みには,夏休みには,今年中にはと延び延びになって行った. 昨年の夏,軽井沢において,筑波大学の公開講座ゴルフ指導者研修会の修了者で, これまでのゴルフ指導現場で得られた知見をもとにした意見交換会がなされた. その際,もう一度研修会を開催してはという,関口良輔教授の発案とともに全会一致を見た. そこで,次回の研修会までに教本発刊の実現を目指すことも検討され,編集委員会が編成された. 実際に編集作業を始めてみると,様々な難題があり, 挫折しそうになったこともあったが,会員各位の声援のもとに続行した. そのなかでも最も問題となったことは,日頃何気なく使っている用語の定義に関して, 共通の理解がなく,十人十色,それぞれ意見がまちまちであったことである. 例えば,「動作」と「動き」,「重心」と「足圧」,「前傾角度」と「軸角度」, 「スウィング面」と「スウィングプレーン」と枚挙にいとまがない. あいまいな表現を許していること, 言葉の定義や外来語の翻訳の表現が不明確であることに気づき, 指導の基盤に危うさを感じ,恐ろしささえ覚えたのである. ゴルフの実技のみならず,他の分野でも同様のことはあると思われる. 体育学,運動学全般の分野でも,意見を持ち寄り, これらの諸問題に関する検討を急ぐべきであろう. このように,問題は山積している状態だが, ひとまずこれまでの実践と研究の成果を形にし,指導現場でご活躍中の, あるいはこれからゴルフを学習しようという読者諸兄の教えを乞うこととした. 「何事もまず一歩踏み出さねば進歩はない」と信じての出版, どうか厳しい後叱正を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます. 今回編集の作業に関わらせていただいたこと, というよりも勉強の場を与えていただいたことに深く感謝申し上げます. 得がたい機会でありました.また,今回の出版に当たっては, つくば市の(株)前田印刷の岡野留吉支店長の多大なるご協力をいただきました. ここに深く感謝の意を表します. 末筆ながら,執筆にご協力いただきました諸氏に心より厚く御礼申し上げます. |